研究者の日常

研究だけじゃない研究者の仕事

井尻 大地(鹿児島大学)CV

「若手企画シンポジウム」や「サイエンスナイト」って知っていますか?

みなさんは、研究者の仕事というと、「大学や研究所で実験して、その成果を学会や論文として公表する」というようなイメージを抱いているのではないかと思いますが、実は、研究者の仕事ってそれだけではないのです。私たち研究者は、自分と研究内容や分野が近い研究者と「各自の研究成果について意見を交わす会」である学会という組織に所属しています。例えば、私は「鶏の栄養・生理」について研究をしているので、「日本畜産学会」に所属しています。学会というところでは、年に1回または2回、一カ所に集まって研究成果を発表し、意見を交わす会(大会)が開催されています。この学会の大会を開催・運営することも研究者の仕事の一つです。

例えば、日本畜産学会の若手企画委員会では、畜産学会の大会時に「若手企画シンポジウム」や「サイエンスナイト」という企画を開催しています。私は、今春の第118回大会(平成26年3月26日〜29日つくば国際会議場)での「若手企画シンポジウム」と「サイエンスナイト」という企画の世話人をさせてもらっています。そこで、今春の企画の広報も兼ねて、これらの企画について書いてみます。

若手企画委員会が開催している企画は、大会ごとに特色豊かなテーマで企画されており、今春の大会で、若手企画シンポジウムは第12回、サイエンスナイトは第2回となります(http://www.jsas-org.jp/wakate/pastactivities.html)。私が最初に若手企画シンポジウムに参加したのは、学生の時でした。「若手企画シンポジウム」の存在も内容も解らないまま、先輩たちが行くというので付いて参加したのですが、自分とそんなに年の変わらない人が演者となり、豊富なデータと圧倒的な熱量で研究紹介をしている姿に衝撃を受けました。そして、シンポジウムの運営や質疑応答を行っている人たちも若手の研究者で「この会は面白い。」と感じたのが最初でした。その後も参加する度に衝撃と刺激を受けて、「いつかこのような会に加わって、発表や討論をしたい」と憧れていたら、縁あって今春のつくば大会での企画担当者(世話人)として参加できることになりました。

今春のつくば大会での若手企画は、3人の世話人で担当しています(茨城大の後藤さん、畜草研の石田さんと私の3人です)。この3人で昨年の6月から「どんな企画にするか?」を話しあって進めています。先ずは「今年のテーマ」を考えましたが、これまでの企画のテーマが「生命科学の最前線」から「投稿論文が受理されるまでの注意点:編集者からの視点で」や「女性研究者としての生き方」など、非常に特色豊かで魅力的であったので、とても悩みました。

今年の若手企画シンポジウムは、私たちが一番聞きたいことをテーマにしようということになり、「最前線で活躍されている先生の視点から見た畜産学や畜産学研究」について聞かせてもらいたいと意見が一致しました。「これからの畜産学研究者へ伝えたいこと」をテーマとして、木村信熙先生(日本獣医生命科学大学名誉教授、木村畜産技術士事務所)と永井卓先生(Food & Fertilizer Technology Center)にお話していただけることなりました(詳細は、以下を参照くださいhttp://www.jsas-org.jp/wakate/symposium_12th.html)。

一方、サイエンスナイトは、学生・若手会員および若手以上の情熱を持った一般会員の所属・研究領域を越えた交流を促進することを目的とした研究交流会で、昨年の日本畜産学会広島大会から始まりました。第1回サイエンスナイト(広島大会)では私も話題提供者として参加させてもらいましたが、参加者全員が非常に意欲的でとても楽しく発表・討論することができました。今回(第2回)のテーマを決めるにあたり、「学生が知りたい事って何だろう?」ということを大切にしました。加えて「若手会員や一般会員の交流範囲を広げる事ができることは何か?」を話しあった結果、「様々な業界・分野で活躍されている畜産学分野出身の研究者」の方々に話題提供をしてもらうことになりました。今回のサイエンスナイトでは、企業、都道府県の研究所、大学など幅広い業界の方々が話題提供をして下さることになりました(詳細は、以下を参照くださいhttp://www.jsas-org.jp/wakate/sciencenight_2014.html)。

今春の若手企画シンポジウムおよびサイエンスナイトでは、演者をお願いした全ての先生が快く講演を引き受けて下さいました。畜産学会所属の学生さん、若手会員のみなさま、そして畜産学会に所属していないけれど興味があるという方、今春の日本畜産学会第118回つくば大会の「サイエンスナイトinつくば(3月26日夕方)」と「若手企画シンポジウム(3月27日昼)」へぜひともご参加ください。サイエンスナイトでは、軽食がでます。軽食や飲み物を片手に様々な分野の方々と交流しましょう(サイエンスナイトは事前予約制です。予約は、後日HP上で行います)。また、若手企画シンポジウムはお弁当を食べながら講演を聴くことができるランチョンセミナー形式で行います(お弁当は予約制です。予約は、後日HP上で行います)。

最後になりましたが、このように学会大会での企画を開催・運営することも研究者の大切な仕事です。

第1回サイエンスナイトの様子

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