シンポジウム

第23回日本畜産学会若手企画シンポジウム【オンライン開催】

ゲノム編集で加速する生殖生物学研究の最前線

開催日時:
2021年9月14日(火)11:45〜12:45
開催場所:
Zoomを使用したオンライン開催(ライブ配信)
演者:
伊川 正人 博士(大阪大学微生物病研究所 教授)
世話人:
松崎 芽衣(広島大)、渡邊 源哉(農研機構)、新居 隆浩(広島大)、牧野 良輔(愛媛大)
協賛団体:
一般財団法人旗影会
参加者数:
73名

今回の若手企画シンポジウムは「ゲノム編集で加速する生殖生物学研究の最前線」と題し、オンラインセミナーとして開催いたしました。ゲノム編集といえば、昨年Charpentier博士、Doudna博士両名が「ゲノム編集の手法の開発」により2020年ノーベル化学賞を受賞したことが記憶に新しいと思います。両氏が開発したCRISPR/Cas9システムはアプリケーションの簡便さや自由度の高さ、適用できる生物種の多さから瞬く間に世界中へ広がり、今や遺伝子工学分野においてなくてはならない技術となりました。CRISPRの普及により遺伝子の機能解析のスピードはここ10年ほどで爆発的に加速し、新たな研究が次々と生み出されています。このような「爆風」を実感していただきたく、CRISPRを用いた逆遺伝学的解析により生殖研究分野で世界トップクラスの研究を展開しておられる伊川 正人 博士へご講演を依頼した次第です。

伊川先生のご講演では、これまで作製した生殖関連遺伝子ノックアウトマウスの解析で明らかになった、精子形成や受精に重要な役割を果たす遺伝子群とそれらの機能をご紹介いただきました。以前のご研究もさることながら、ノックアウトマウスの作製法を従来の相同組換え法からCRISPRシステムへ切り替えてからは短いスパンでインパクトの大きい成果を次々に出されており、視聴者の皆様からも時折感嘆の声が上がっていました。従来法で20年かけて64遺伝子のノックアウトマウスを作ったが、CRISPRが登場してからは1年で20遺伝子以上のノックアウトマウスが作製できるようになったというお話からも、ゲノム編集技術が生物学研究へもたらした恩恵を強く実感できました。生殖に関与する遺伝子を同定し機能を明らかにするだけでなく、ヒトの不妊との関連性や新しい生殖医療技術開発への可能性も探られており、畜産分野の研究にもつながる有益な視点をご提供くださいました。

当日は73名の先生方・学生にご来場いただき、大盛況の会となりました。大変刺激的なご講演をしてくださった伊川正人博士、ご参加いただいた皆様に改めて御礼申し上げます。また、本シンポジウムの開催にあたり協賛いただきました一般財団法人旗影会、ご助力いただいた大会運営委員の先生方に、心より感謝を申し上げます。

文 松崎 芽衣(広島大)

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