シンポジウム

第17回若手企画シンポジウム(2017秋・信州大)

ランチョンセミナー「畜産技術の開発から生産現場への普及まで」

開催日時:
2017年9月6日(水) 12:30〜13:30
開催場所:
信州大学 伊那キャンパス 講義棟 第Ⅴ会場 (15番講義室)
演者:
力丸宗弘 博士 (秋田県畜産試験場)・橋谷田 豊 博士 ((独) 家畜改良センター)
世話人:
中村 隼明 (広島大)、白石 純一 (日獣大)、後藤 達彦 (帯畜大)
協賛団体:
財団法人旗影会

「畜産技術の開発から生産現場への普及まで」というタイトルで、この度のランチョンセミナーを企画しました。家畜の生産現場に役立つ実用的な畜産技術の開発と、その普及は、畜産業の発展を目指すうえで極めて重要なミッションです。しかし、これは一朝一石で成せることではなく、多くの畜産学研究者がその研究人生を賭して挑戦しています。本シンポジウムでは、畜産技術の開発を通して生産現場と研究を繋いでいる研究者として、力丸博士と橋谷田博士をシンポジストに迎え、技術開発から生産現場への普及に至るまでの道のりと、そこに込めた想いについて講演して戴きました。

力丸博士には、「畜産技術の開発から生産現場への普及まで あきたシャポンを例として」というタイトルで講演して戴きました。これまで博士は、銘柄鶏として有名な比内地鶏の需要をさらに拡大するために、雄鶏を去勢して長期間飼養した「あきたシャポン」の開発に取り組んできました。今回は、去勢技術の確立から生産現場への普及、さらには市場開拓に至るまでの経緯について博士自身の実体験に基づいて講演戴きましたが、とりわけ、去勢技術を確立するまでのプロセスの試行錯誤が非常に印象的であり、博士の情熱と行動力からエネルギーを戴きました。

橋谷田博士には、「家畜改良センターにおける実用技術の開発と普及」というタイトルで講演して戴きました。これまで博士は、ウシを対象に、育種改良の効率化を目的とした分割卵双子検定法と、胚移植の簡便化を目的とした胚のダイレクト法の技術改善と普及に取り組んできました。今回は、これらの技術の開発から普及に至るまで、家畜改良センターというチームとしての取り組みについて講演戴きましたが、技術の高度化に必要なステップを一つずつ正確に検討して、それらの結果を取り纏めてマニュアル化して発信し、さらには全国の技術者への技術移転に至るまでの、博士個人とチームの連携が非常に印象的であり、博士の信念と豊かな人間性にシンパシーを感じました。

力丸博士と橋谷田博士の話題に共通することは、何度壁にぶつかっても試行錯誤を続けて、一歩ずつ着実に研究を進めて、最終的に目標を達成したことです。そして博士らはそれに留まらず、新たにみえてきた課題を克服すべく今なお前進し続けていることです。きっと、博士らの研究に対する情熱とモチベーションには、私を含む多くの参加者が大いに刺激を受けたことでしょう。これは、今回のシンポジウムから導入した参加者アンケートの結果からも裏付けされております。そしてもう一つ重要なことは、博士らはいつも他の研究者やスタッフ、生産者との連携があったことです。講演の最中にも、博士らの他人を引き込む人間としての魅力を要所に感じられました。

最後になりましたが、当企画の開催にあたり協賛戴いた財団法人旗影会、印象的な講演をしてくださった演者、運営にご尽力戴いた若手企画委員の皆様に、心より御礼申し上げます。そして、アンケートに協力してくださった参加者の皆様に深謝いたします。アンケート結果は、今後より質の高いシンポジウムを提供するために、活用させて戴きます。どうぞ次回の若手企画シンポジウムにご期待ください。

文 中村 隼明 (広島大)

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