シンポジウム

第13回若手企画シンポジウム(2015春・宇大)

ランチョンセミナー「若手による最前線の繁殖学研究の紹介─精子幹細胞を知る・利用する─」

開催日時:
2015年3月28日(土) 12:00〜13:00 (お昼休み)
開催場所:
宇都宮大学 5号館 1121教室
講演1:
「精巣から見出された組織幹細胞の知られざる性質」
演者1:
原 健士朗 (東北大学(開催時の所属:基礎生物学研究所))
講演2:
「精子幹細胞による遺伝資源の保存~単一細胞レベルの解析から移植の効率化を図る~」
演者2:
中村 隼明(基礎生物学研究所)
世話人:
佐藤 祐介 (宇大)、福森 理加 (宇大) 、新村 毅 (基生研)、塚原 直樹(総研大)
協賛団体:
財団法人旗影会

日本畜産学会若手企画委員会の主な企画の1つは、若手企画シンポジウムで、そこでは、若手研究者独自の視点から畜産を研究する醍醐味をお伝えしています。13回目を迎えた今回の若手企画シンポジウムでは、2名の若手研究者の先生に繁殖学研究の最前線に誘って頂きました。約100名の方に参加頂き、大盛況となりました。

原先生の御講演は、最近トップジャーナルに掲載された論文内容(Hara et al. Cell Stem Cell 14: 658-672, 2014)が主体となったもので、40年以上も前に提唱された定説を覆す発見について、非常にわかりやすく説明されていました。精巣の中をイメージすると、精子幹細胞自体は非常に静止的な状態で、精子幹細胞から精子が作られていく過程は、直線的な過程を経ている・・・と、私自身は思い込んでいました。しかし、実際は姿や形を変えながら非常にダイナミックで流動的な状態であることがわかり、とても驚きました。上記の論文は、オープンアクセスで誰でも読める論文ですので、ぜひ一度読んで頂きたいと思います。

中村先生は、畜産学・繁殖学分野で数々の賞を受賞された方で、鳥類の遺伝資源の保存法、特に鳥類の始原生殖細胞の操作技術に関する一連の研究を御存知の方も多いと思います。御講演では、現在、基礎生物学研究所でマウスを用いて進められている、精子幹細胞の移植効率の向上に向けた研究を紹介されていました。この研究が畜産学にも応用されれば、大きなブレークスルーを生み出す可能性もあり、これからの研究展開に大きな期待が寄せられていました。また、動物は変わっても、ブレることのない熱い情熱と目標は、老若男女問わず刺激を受けたことだろうと思います。

今回、御講演頂いた2人の先生は、この分野を牽引していくことが期待されている若手研究者ですので、これからの研究展開に目が離せません。私個人としては、両先生をリスペクトすると同時に、絶対に負けないように精進しようと心に強く誓いました。

最後になりましたが、本シンポジウムの開催にあたり、協賛頂いた財団法人旗影会、ご尽力頂いた若手企画委員および関係者の皆様方に、心から感謝申し上げます。

文 新村 毅 (基生研)

(1枚目から)満席となった聴衆の様子、ご講演中の原先生、ご講演中の中村先生

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