シンポジウム

第10回若手企画シンポジウム(2013春・安田女子大)

ランチョンセミナー:「私の研究白書:畜産研究の魅力」

開催日時:
2013年3月28日(水) 11:50〜13:00
開催場所:
安田女子大学 7203講義室
世話人:
石田 藍子(畜草研)、喜久里 基(東北大)、杉野 利久(広大)

「家畜の生産現場と公的研究機関のつながり(養鶏での一事例)」
松下 浩一(山梨県畜産試験場)

「生産現場における研究の醍醐味」
吉岡 豪(岐阜県畜産研究所)

「最愛の鶏研究から糖尿病研究そしてアメリカへ~輸送タンパク質GLUTとSERCA研究から学んだ事~」
河野 龍義(インディアナ大)

平成25年3月28日安田女子大学において開催されました第116回大会若手企画シンポジウムでは、「私の研究白書:畜産研究の魅力」と題して、三名の講師にご講演いただきました。まず山梨県畜産試験場養鶏部でご活躍されている松下浩一先生のご講演では、養鶏に携わるまでの先生ご自身の人生を楽しく語っていただき、さらに試験場における研究において「動物を毎日観察すること」、「効率性を考えて仕事をする」、「新しい情報を得る」、「人のつきあいを大切にする」、「上から目線には決してならない」といったシンプルではありながら日頃おろそかにしがちなポイントをご教示いただき、これらの重要性を再認識させていただきました。つづいて、岐阜県畜産研究所養豚研究部で研究されている吉岡豪先生に講演いただき、今でこそ県の名産品として販売されている「瑞浪ボーノポーク」ですが、これができるまでの紆余曲折をお話しいただきました。先生は、遺伝育種学に加え栄養学も掛け合わせるとの非常に斬新な手法によってボーノポークを開発され、我々研究者に対して新たな研究アプローチをご教示いただき、非常に刺激のあるご講演でした。最後に、東北大農学部を卒業されて現在はインディアナ大学医学部で研究に従事されている河野龍義先生にご講演いただき、畜産研究の魅力について俯瞰的な立場からの意見をいただきました。先生は、現在はヒトの糖代謝特に糖尿病発症について研究されておりますが、学生時代は家禽の糖代謝特性(ニワトリの通常の血糖値はヒトの2倍!)について基礎的な研究をされており、今現在も「なぜニワトリはグリケーションが起きないんだ?」という生物の謎を解き明かせないかと考えておられました。出身は畜産学でも、そこから得られた知見・経験を基に新たな分野でご活躍されている姿は非常に誇りに感じました。

今回のシンポジウムにおきましては、実際に畜産の現場に携わっている先生からお話を伺うことができました。学会発表などで、試験場での研究内容は存じ上げているものの、それにいたるまでのプロセス・そして先生ご自身についてのお話は近しい人でない限りなかなか得られないものです。また、俯瞰的な立場からの示唆に富んだご意見を聞くこともできました。会場におきましては、様々な分野からの先生にお集まりいただき、さらに学生会員の積極的な参加も見受けられ、先生方のご講演がよい刺激になることを望んでおります。講師の先生方、ならびにご出席いただいた皆様誠にありがとうございました。

最後になりますが、本シンポジウムの開催にあたりましてご協力・尽力いただきました方に心より御礼申し上げます。

文 喜久里 基(東北大)

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