サイエンスナイト

「サイエンスナイト 都内」

日時:
2016年3月29日(火) 18:00〜20:00
場所:
日本獣医生命科学大学 A棟1階 カフェテリア「むらさき」
世話人:
中村 隼明 (基生研)、西尾 元秀 (農研機構) 、江草 愛 (日獣大)、白石 純一(日獣大)

話題提供していただいた若手研究者

及川 真美 (ケンブリッジ大学・ガードン研究所)
谷口 章雅 (農業生物資源研究所)

グローバル化が進む現代において、留学は研究者としてのキャリアを大きく左右し得る一つの選択肢です。研究留学に魅力や可能性を感じつつも、語学・家庭・就職・金銭等の様々な事情により、躊躇している方も多くいるのではないでしょうか?サイエンスナイト都内では、「自分にとっての留学を考える」をスローガンに掲げ、ポスドクとして留学経験のある及川真美博士と谷口章雅博士2名による講演(情報の提供)と、参加者38名と演者を交えたグループディスカッション(意見の提示と議論)を行いました。

二人の演者には、どのような意識をもって留学したか?留学がもたらす長所と短所は?という共通の内容を交えて、及川博士には世界最先端の研究機関に今現在留学している立場から、また谷口博士には留学を経て日本で職を得た立場から、それぞれの留学体験記について講演して戴きました。及川博士の講演の中で、ケンブリッジ大学ではティー・タイムのオープンな議論からサイエンスが生まれ育つ、という話題が印象的でした。個人的な意見ですが、海外と日本の間でサイエンスへのアプローチの違いを理解し、それを今後の自身のサイエンスの進め方に反映できることが、留学する最大のアドバンテージであると感じました。一方、谷口さんの講演の中では、うまくいかない時に問題点を見つけて少しずつ修正することを繰り返してきた結果が今に繋がっている、という話題に感銘を受けました。及川博士の"Action!"と谷口博士の"No way out"というtake home messagesからも窺えることですが、二人の講演内容に共通していたことは、まず自分の目指す環境に飛び込んでみて、その中でひたすらもがき続けるということでした。これは、留学という枠を超え、人間らしく生きていくうえで根源的な行動であり、それを体現しているお二人の講演には私を含む全ての参加者が大いに刺激を受けたことでしょう。

グループディスカッションは、参加者一人一人がパネルを用いて留学に対する考えを提示し、意見やコメント、アドバイス等オープンに議論する形式で行いました。留学したいか?の質問に対して"Yes"の回答が大部分を占めたことから、今回の企画には留学に関心がある方が多く集まったことが窺えます。"Yes"を回答した理由として、日本には関連分野の研究者がいない、海外のサイエンスに触れてみたい、英語によるコミュニケーション能力を養いたい、といった意見が多く挙げられました。これに対して"No"を回答した理由には、日本に戻れなくなるかもしれない不安、英語によるコミュニケーション能力に対する不安、留学資金のやり繰りに関する不安等が挙げられました。これに対して、研究職を得てから留学できる制度や、留学資金の種類とその応募方法に関するノウハウ、留学先の雇用主との賃金交渉など、様々な立場からアドバイスが寄せられていました。都内の熱い夜を通して、多くの参加者が自分にとっての留学を考えることができたのではないでしょうか?

最後になりましたが、当企画の開催にあたり協賛戴いた財団法人旗影会、貴重な留学体験記を講演して戴いた演者、活発に議論して戴いた参加者の皆様、運営にご尽力戴いた若手企画委員の皆様に、心より御礼申し上げます。また、当企画の2日後に英国へ留学に旅立った若手企画委員の一員である後藤達彦博士に心からのエールを送ります。

文 中村 隼明(基生研)

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