サイエンスキャンプ
第3回日本畜産学会若手企画オンラインサイエンスキャンプ
未来の畜産を、いま考える
- 日時:
- 2025年10月4日(土)9:00~13:00
- 場所:
- オンライン開催
- 世話人:
- 大内 義光(岡山理科大学)
澤戸 利衣(農研機構)
島元 紗希(鹿児島大学)
2025年10月4日に、オンライン形式で「第3回オンラインサイエンスキャンプ」を開催しました。本イベントは、畜産学分野の若手研究者や学生の交流を促進し、学際的な視点を育むことを目的として企画されたものです。今年度は「未来の畜産を、いま考える」をテーマとし、学会員を中心に広く参加を呼びかけました。その結果、大学教員、大学院生、公的研究機関の研究員など、幅広い立場から6名の応募がありました。
当日は、まず参加者による研究発表を実施しました。各発表では、自身の研究内容の紹介に加え、今後の展望やその成果をどのように現場へ還元し、未来の畜産の発展につなげていくかという点を中心に発表していただきました。研究内容は多岐にわたり、畜産が直面する多様な課題を改めて認識する有意義な時間となりました。発表後の質疑応答では、分野の異なる参加者から積極的に質問や意見が寄せられ、互いの研究を新たな視点から見つめ直す良い機会となりました。
研究発表に続いて、参加者主体のワークショップを実施しました。テーマは「2050年の畜産をイメージし、現状の課題とその解決策を考える」とし、フィッシュボーンマップを用いて議論を進めました。畜産業の現場が抱える問題だけでなく、畜産学そのものが直面する課題にも焦点を当て、教育・研究・社会との関わりについて多角的な議論が行われました。議論の中では、環境負荷の低減、動物福祉の向上、担い手不足、畜産教育人材の不足など多様な問題が取り上げられ、参加者からは創造的で実践的な解決策が多く提示されました。また、海外からの参加者や外国人留学生の参加もあり、国際的な視点から現状と課題を多面的に捉えた活発な意見交換が行われました。
今回のオンライン開催は、地理的な制約を超えて多様な参加者を迎えることができた一方で、例年に比べて参加者数はやや少ない結果となりました。しかし、少人数であったからこそ密度の高い議論が可能となり、参加者全員が主体的に意見を交わすことができました。特に、「未来の畜産は私たち若手研究者が創り上げていくものだ」という意識を共有できたことは、本イベントの大きな成果であると感じています。参加者からは、「自身の研究に対するモチベーションが高まった」、「同じデータでも見る人によって議論の方向性が異なるのがおもしろい」、「オンライン開催で海外から参加できるのでありがたい」などの感想が寄せられました。今後は、オンラインの利点を生かしつつ、対面での交流の機会も設けたハイブリッド形式での開催も検討していきたいと考えています。
最後になりますが、学会大会直後のご多忙な時期にもかかわらずご参加くださったすべての皆様に、心より感謝申し上げます。
文 大内 義光(岡山理科大学)
サイエンスキャンプ参加者と作成したフィッシュボーンマップ



