研究者を目指すあなたへ
退任に寄せて
渡邊 源哉(農研機構)CV
2025年4月
渡邊源哉です。2025年3月で若手企画委員会を退任し、代表の職も解任となりました。6年間ありがとうございました。
若手企画委員会に入った時はちょうど30歳。研究者として働き始めてから3年目で間違いなく「若手」だったと思います。それが、気が付いたら齢は30半ばを通り過ぎ、子どもが2人生まれ、腰痛や鼻炎にしょっちゅう悩まされるようになり、研究者としても、家庭人としても、体力の方もだいぶ若手ではなくなってきましたので、退任するのにちょうどよい頃合いだろうと思います。
若手企画委員会の一員として過ごした6年間、いろいろなことがありましたが、やはり、代表になってからの2年弱が大変に色濃く記憶されています。
私が委員会の代表に就任した2023年は、コロナ禍で学会活動の大半がオンラインになっていたところから、一気に対面に戻り始めたタイミングでした。コロナ禍で学会の活動がオンラインになっていた期間に若手企画委員会のメンバーも大部分が入れ替わり、一度途絶えた対面での企画の運営ノウハウを復活させていくことが大きな課題でしたが、私が代表として迎えた第131回大会、第132回大会は、両大会ともに企画の世話人は委員のみなさんからの立候補によって決まり、事前準備や当日の運営も円滑に進み、委員のみなさんの積極性と面白い企画をやりたい!という気持ちに支えられ、いずれも大変魅力的な企画になりました(詳しくは過去の活動をご覧くださいhttps://www.jsas-org.jp/wakate/pastactivities.html)。
また、代表を務めて2年目に、我が家に第二子が生まれ、育休で3か月弱、委員会の仕事から離脱しました。この間、副代表の吉田さんに代表代行を務めていただき、私の復職までの間に第132回大会の企画内容や事務手続きについて大部分を円滑に進めていただきました。その節はどうもありがとうございました。さらに、企画の世話人のみなさん、コアメンバーのみなさん、若手企画委員と大会実行委員を兼任していただいた小川さんなど、多くの方々に企画の準備を進めていただきました。頼りになるみなさんに囲まれたおかげで、復職まで安心して休業することができました。
この他、私が代表についてから、若手企画委員会での活動がやりやすくなるように、少しずついろいろなことに取り組んできました。まず、企画の準備の進め方や委員会に配分いただいた予算の使い方について、コロナ禍を経て、あいまいになったまま引き継いだことで私が困ってしまった反省を生かし、委員会での役職者の決め方や予算の使い方などについて暗黙の了解になっていたものを、常務会や事務局にご確認いただきながら、「申合せと事務手続きの確認事項」という形で明文化しました。
また、春の大会がなくなったかわりとして3月に若手研究者向けのオンラインでの研究発表会をオンラインサイエンスキャンプとして継続的に企画したり、日本畜産学会報へ若手企画委員会が開催したイベントの報告資料を寄稿したり、委員会HPのレイアウトや写真を最近の委員会のメンバーのものに変えたり、委員会HPやそこで掲載している読み物について学会の企画中にチラシやスライドで広報したりするなど、委員会の活動が会員のみなさん、特に若手のみなさんに気が付いていただけるよう、ちょっとずつ新しいことに取り組んできました。
こうした取り組みのほとんどは、私が思いついて「やりましょう!」と言い出したものではなく、委員のみなさんや日本畜産学会の会員のみなさんからもらった意見、コメント、アンケートをもとにして具体的な取り組みを考えて実際に形にしてきました。若手企画委員会の活動を気にかけてくれている方々からの提案を無駄にすることなく、活動をブラッシュアップしたり、会員のみなさんに広報したりすることができ、私自身としては良かったと思います。
……私が代表になった期間にいろいろやることが増えて、対応するのが大変だ、という声が一部の方にはあるかもしれませんが、うまくバランスをとってできる範囲でやってください!
6年間の委員会での活動を通して実感したのは、「一人で考えられること、できることはたかが知れている」ということです。いろんな分野、いろんな考え方、いろんなスキルを持つ委員のみなさんが、企画を練ってくれて、会場のスタッフとして自発的に動いてくれて、時間をかけて企画を準備してくれなければ、「あの企画、良かったよ」と参加者のみなさんに声をかけていただくこともなかったでしょう。仲間に恵まれたと思っています。ありがとうございました。
畜産学は研究分野が多岐にわたります。委員会の在任中に「一人の力でできることには限界があるが、いろんな人の力が集まれば面白いことができる」と実体験として理解できたことは、ここで築いた人間関係も含めて、今後の研究に長く先まで生きていく財産になると思っています。
さて、次年度から島元さんが代表、澤戸さんが副代表という新体制にかわります。代表、副代表という役割を引き受けていただきありがとうございました。代表が変わることで、委員会のカラーや企画の方向性もいろいろ変わると思います。そういった変化も今後は外から楽しませていただきたいと思います。また、ここまで書いてきた通り、私が代表を務めている間、委員会の活動は委員のみなさんが積極的に進めてくれました。島元さん、澤戸さんが大変さや難しさに直面した際には、委員のみなさん、学会の関係者のみなさん、その他外部のみなさんにどんどん助けを求めたり、質問したりしてください。人の手を借りれば、だいたいのことは解決できると思います。
引継ぎが足りないところがあったら、容赦なく私にクレームを入れてください(笑)単純に何か手助けが必要な場合にも、いつでも声をかけてください。新体制の邪魔にならない程度にお手伝いします。
……最後は私信みたいになってしまいましたが、この委員会で活動してみて、私自身、たくさんの刺激を受けました。「私も畜産学会のいろんな分野の研究者と交流したり、研究企画を考えたりしたい!」という熱い気持ちを持つ若手研究者の方は、ぜひぜひ、若手企画委員会に参加してみてください。

「若手研究者交流会 サイエンスナイト2023」終了後の委員の集合写真。中央でガッツポーズをしているのが筆者。コロナ禍後、初の対面交流企画が無事に盛り上がり、安心感が全身からにじみ出ています。