研究者を目指すあなたへ

生き残れ!

小川 伸一郎(京都大学)CV
2023年11月

2019年度に委員となりました小川です。入会当初は東北大学農学研究科の助教でしたが、2022年4月からは農研機構畜産研究部門の研究員、そして2023年10月から京都大学農学研究科の助教となりました。所属がコロコロ変わって恐縮ですが、皆様改めてどうぞよろしくお願いいたします。

今回は、『生き残れ!』という強い言葉をタイトルにもってきました。対象となるのは「任期付職」や「公募戦士」の方々でしょうか。若手企画の各種イベントに対するアンケート回答のなかに、「サバイバル術関連の話題も扱ってほしい」旨の文言が何度かみられましたので、この度執筆してみようと思い至りました。かくいう私も任期付助教、任期付研究員を経て現在はテニュアトラック助教なので、未だ『生き残れ!』と言われるべき側のように思います。

この世界で生き残るのに大事なことは何か?と現時点の自分に問いかけて、これは大事かも、とすぐに思いついた事柄が以下になります。いろいろ並べてみましたが、生き残るのに一番大事なのは最後の健康第一かもしれません。
・とにかく「書く」、論文も申請書も履歴書も
  ⇒ 行動を起こさなきゃ始まらない
・「やりたいこと」と「やるべきこと」の比重を常に調整する
  ⇒ とくに教員を狙う場合は教育実績や組織内活動も含めて
・アンテナは常に最高感度で
  ⇒ 情報戦、ビッグウェーブに乗れる準備を、意外と周りから見られてる
・できることを増やしておく
  ⇒ 応募可能な領域を増やせるチャンスだし、興味の湧く研究ネタも増える
・ポジティブ思考
  ⇒ 見方を変えると案外何とかなる、かも
・相談できる・愚痴をこぼせる人をつくる
  ⇒ ガス抜きできる・できないの差は大きい
・健康第一
  ⇒ こころの健康とからだの健康、ライフ・ワーク・バランス

下図は、過去10年間にわたる私の学歴・職歴ならびに代表として獲得した研究助成を時間軸に沿って簡単に示したものです。学生のときに学振以外の助成がない、自身が研究代表者である助成を毎年確保できているわけではない点は反省点というか、今後の改善に活かせる点とも考えています。ただし実際のところは、所属機関・研究室がほぼ常に何らかのプロジェクト研究に参画していたため、そちらで成果発表できた点は非常に恵まれたと感じています。

一方で、2019年末から2020年頭に始まった新型コロナ禍の影響は非常に大きかったと思います。5年任期の3年目が終了しようとしており、そろそろ本格的に次のポジションを…の矢先のパンデミックでした。実のところ、この辺りで転職サイトに初めて登録しましたたが、紹介される案件にはいつも“コレジャナイ”感をもっていました。当時はそういったモヤモヤを抱えつつ、学生実験の内容変更など学内のコロナ対策業務に追われつつ、日本畜産学会第129回大会の実行委員会活動もしつつ、行動制限のもと論文書きつつ…白髪が一気に増えたかもしれません。最終的には、これまでの研究で縁ができたところの流れで拾っていただき、何とか空白期間を作ることなく研究職を続けることができました。コツコツ頑張ってて良かったと思うと同時に、評価してくださった方々が周りにおられて本当に感謝しております。つくづく独りでやっていける仕事ではないと痛感しております。

ここでの話はきっと温い一例で、世の中には凄まじい生存競争を経験されている方もおられることと思います。是非そういう方々の体験談も聞かせてもらえれば、色んな意味で有難いことのようにも思います。今回のお話が少しでも、どこかの誰かのお役に立てれば幸いです。

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