研究者を目指すあなたへ

世界へ羽ばたく研究の魅力

高橋 秀之(九州大学)CV
2016年6月

4年生のころ、「どうも、世界の○○です。」と挨拶される先輩がいらっしゃいました。その先輩に憧れていた私は、デスクトップのトップ画面に「どうも、世界の髙橋です。」と表示されるように設定していましたが、うっかりその先輩に見つかり「どうも、世界最下位の髙橋です。」と書き換えられていたのを今でも忘れません。その先輩は「出る杭は打つ!」とおっしゃっていましたが、私からすれば出てもいない杭をねじ込まれたような恥ずかしさがありました。

研究をして世に出すべくデータが出た後は、論文を執筆し海外や国内の雑誌に投稿することになります。投稿先の編集員のチェック後、査読者の審査に回り、受理されるとPubMedやGoogle scholarに自分の論文がアップされ、世界中の研究者が閲覧可能となります。私が初めて執筆した論文が受理された際は、何度も何度も検索し後輩たちと「おぉ~、あるぜ~あるぜ~!!」と盛り上がり、それだけでうれしかったのを覚えています。論文がアップされてから一か月後くらいに、デンマークだったと思いますが、欧州の研究所から「あなたの論文を読みました」との手紙が届いたことがあります。この時に、研究って凄いなと感じました。こんなヨレヨレのジャージを着こなす小汚い学生(学生時代は上下ジャージで過ごしていました)が行った研究を外国の研究者が読んで手紙をくれる。自分の研究結果が世界へ向け発信されていること、会った事もない海外の研究者が自分の論文を読んでいることに感動を覚えたのを記憶しています。

スポーツ等で世界と戦うことは誰もがチャレンジできることではありません。まず日本代表になることすら難しいでしょう。しかしながら研究は、皆、4年生から一斉にスタートをし、自分の興味と発想で世界と戦える環境が整っています。もちろん勉強も必要ですが、勉強が出来るか出来ないかはあまり関係がなく(個人的にはそのように感じます)、皆にチャンスがあり誰もが世界に挑戦できる、これがまさに研究の魅力ではないでしょうか。

論文を書くことは大変な作業ではありますが、皆さんが何気なしに行っている研究は単なる卒論や学位論文のためだけではなく、世界に向けた研究だという事を意識して頂けたらと思います。偉そうに書いている私もまだまだ「世界の髙橋」にはなれていませんが、世界に情報発信できるよう研究に取り組んでいます。皆さん、研究を通して世界へ羽ばたいてみませんか。

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