研究者を目指すあなたへ
研究に役立つものは?
松山秀一(畜産草地研究所・那須研究拠点)
“近頃の若い者は・・・”おじさんの常套フレーズである。私自身、学生でまだ通用するのではないかと思っていても、研究の世界では若手と言われていても、一般社会から見たらもう立派なおじさんだ。ただ、私は若者が少なく、学生なんて見かける事もほとんどない研究所で仕事をしていることもあって、最近の若者の実態はどうなっているのかなんて分かるはずもない。当然、近頃の若者に物申すなんてことはないと思っていた。
そんな中、研究室に某大学からYくんがひょいと研修生としてやってきた。Yくんはちょうど博士後期課程に進もうかどうか悩んでいるところらしい。私としては、将来を予測できるわけもない現時点であれこれ考えること自体あまり意味が無いのではないか、それならいっそ直感で、一番面白そうな選択肢を選んでしまえば良いのではないかと思うのだが、当の本人にすればそんな簡単な問題でもなさそうだ。早速Yくんに聞いてみた。「Yくん、彼女いる?」「僕、あまり興味ないんで・・・。」妻から得た最新情報によると、こういう若者を絶食系男子と言うらしい。若者の実態を少し垣間見た気がしてなんだかうれしい。であれば、みなさんが素敵な異性と出会える場として思いつくであろう“合コン”は?というと、当然「僕、興味ないです。」・・・だよね。実はYくん、合コンにはこれまでに数回参加したことはあるものの、時間とお金の無駄だから二度と参加したくないとのこと。そういえば、どこかの雑誌に、恋人とどこで知り合ったか?というアンケート結果が載っていた。合コンで恋人と知り合った人、たったの4%。そう、Yくんの言う通り、合コンなんて全く非効率的なのだ。
ところが、そんな合コンにも良いところはあるかもしれない。私の先輩が「合コンには研究と通じるところがある。」と力説していたのを思い出す。みなさん何だと思いますか?それは・・・「かなりの確率で失敗すること。」物事の見方を少し変えてみると、研究に役立つものは社会にいくらでもある。Yくん、まずは合コンに行って、研究者に必要な精神力、コミュニケーション力を鍛えるというのも良いかもしれない。合コンに誘われるうちが花だから・・・。
推薦:松田 二子(名古屋大学)