研究者を目指すあなたへ
研究者になろうと決意した背景
小木野 瑞奈(石川県立大学)CV
幼稚園、小学校低学年の頃の将来の夢は、新体操の選手になることでした。運動神経が並外れていたからです。足は男子よりも速く、誰よりも登り棒を高いところまで登れて、竹馬も自転車も一輪車も一番に乗れるようになりました。今でも驚くのは、小学2年生で、男の先生をおんぶして体育館を往復できたことです。そのまま、体育会系で進めばよかったのに…。
小学校高学年の頃の将来の夢は、画家になることでした。絵を描くのが好きだったからです。人生で唯一の自慢は、小・中・高と図工・美術で5段階評価の5しか取ったことがない、ということです。そのまま、芸術系で進めばよかったのに…。
小学2年生の時、今思えば人生の岐路となる出来事がありました。猫を飼ったのです。ピアノの先生が飼っている猫が仔どもを産み、それがかわいくて欲しくて欲しくてしょうがなく、親に頼んで、もらうことになりました。そこから動物が身近にいる環境ができました。このあたりから、進路がゆがみ始めました…。
中学に進んだ時、3年間担任の先生が理科の先生でした。もともと理科は好きでしたが、より身近になったと思います。それもあって、中学生の頃の将来の夢は、獣医になること、に変わりました。画家にもなりたかったのですが、子供ながらに絵を描いていても生活できない、と思ったようです。
高校では獣医系の大学に合格すべく、理系コースに進み、勉強しました。生物の時間、動物の行動や生態についての授業が面白く感じたので、生物の先生に、行動学を勉強するにはどういう大学に進めばいいか尋ねたところ、最難関のK大に行きなさい、それか、獣医だな、と言われました。K大なんて無理だと思った私は、やはり獣医か、と思い獣医系の大学を受験しました。しかし、失敗。一浪しても受かりませんでした。唯一受かった北里大学獣医畜産学部動物資源科学科に進学しました。受験勉強が大嫌いだった私は、私を入れてくれなかった獣医系の大学を見返してやる、と思って、獣医になることをあきらめました。その代わり、面白いと思った行動学を研究しようと思い、大学に入ったときから、大学院への進学を考えていました。
思えば大学受験に失敗したときから研究者になろうと考えていたようです。その後、博士課程に行くかどうかで悩みましたが、やはり研究したいという気持ちが強く、進学しました。そこからは、もう後には引けません。卒業後のことなど考えず、一心に研究に励みました。正直、卒業後は研究者になれなくても実家の東京に帰れば何か職はある、博士号を取っているのだから、と思っていました。矛盾しているように思えますが、とにかく自分のやりたい研究がしたかった、それだけでした。
振り返ると、獣医になれなかった反動で研究者になったような感じですが、そこで、なぜ画家になる道を選ばなかったのか。なにか、取り付かれたように研究に固執していたように思います。一度足を踏み入れたら、戻れなくなる。研究とはそういう魔法の魅力があるからではないかと思います。それと、研究しているって友達に言うと、ちょっとかっこいいな、とは思っていました。
今、4年生、あるいは修士課程で進路に悩んでいる学生の皆さんは、そこに足を踏み入れる勇気があるでしょうか。このHPを見ている時点でもう踏み入れているかもしれませんね。そうなったら、とことん突き進みましょう。結果は後から付いてくる。私はそう思います。
推薦: 松浦 晶央(北里大学)