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私がこの研究を始めた理由

林 英明(酪農学園大学)

私は現在、生理学の中でも栄養素の消化吸収と代謝に関する研究を主に行っています。しかし、生理学の研究を始めたのは大学院の博士課程からで、修士課程では行動学、学部生のときには組織形態学に関する研究を行っていました。

そもそもは、ただ何となく動物が好きだったので畜産学科へと進み、解剖って面白そうだなと思って解剖学の研究室に所属するという、あいまいな理由で進学していました。解剖学の研究室では、サンプルを採材しては切片を切って染色して顕微鏡で観察して写真を撮るということの繰り返しで、毎日顕微鏡を覗いているのが嫌になってきて、フィールドに出て研究できたら開放的で楽しそうだなと思うようになり、大学院修士課程では農場に所属して、行動学に関する研究を行うことになりました。あまり深く考えず、興味の赴くままに行動していますね。

農場では、ストレスの指標として行動調査を行っており、行動調査以外にもストレスホルモンなども測定していました。これらのことを勉強するうちに、生理学も重要だと思うようになり、博士課程では研究室を移り、生理学の研究を行うようになり、今に至っています。農場で研究しているときに、研究って面白いとか、新しく学ぶことの楽しさを実感しだしたように思います。実験研究を行うことの大変さは博士課程のときに学びました。

このように、学部、修士、博士と学生の間は所属を変え、いろいろな分野の研究に携わってきました。分野が変われば、その分野のことを新たに勉強して研究を開始することになるし、文献を読もうにも、今まで出てきたことがないような単語ばかりで一つ読むのも一苦労だったと記憶しています。ただ、これまで研究を行ってきた中で、ウシやヒツジ、ヤギなど反芻動物に関する研究という面では変わらずに研究を進めてきたということについては、最近になって研究を進めるうえでいろいろな視点でものを考えられるようになったのではないかと思えるようになってきました。また、それぞれの分野で研究していた実験の手法を使いながら、現在実験を進めることができています。そういう意味では、回り道をしているようでもいろいろな場面で役に立つことがあり、間違いではなかったのかなと思いながら、現在の研究を進めているところです。

筆者留学中(スイス)に撮影。このウシの乳からエメンタールチーズが作られます。

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