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私がこの研究を始めた理由

新村 毅(名古屋大学)CV

幼少期の頃の私は、動物が大好きで、物心がついた時から色々な動物を飼育していたのを覚えています。飼い方を工夫したりして、蟻が集団で働く様子を日が暮れるまで永遠と見ているような子供だったそうです。「ドリトル先生になって動物と喋ること」が、子供の頃の私の夢であり情熱でした。

大学を意識し始めた頃、動物行動学の本に出会いました。そこには、ノーベル賞を受賞したコンラート・ローレンツが発見した「ヒヨコの刷り込みやカール・フォン・フリッシュが発見した「ミツバチの8の字ダンスなどが載っており、大きな衝撃を受けたことを覚えています。例えば、ミツバチの8の字ダンス。ミツバチが巣の上でひしめき合って動く様子を、テレビなどで見たことがある人は多いと思います。それを見て、「8の字に動いている!」とか、「ダンスのスピードは花までの距離を示している!」とか、「ダンスの角度は花への方角を示している!」とか、普通の人は気付きませんよね?私はそこに、異常なまでの動物への愛情と好奇心、そしてそこから生み出される動物の心への深い洞察を感じずにはいられませんでした。この時から、自然と、動物行動学を学び、動物の心を探りたいと思うようになりました。

動物行動学を学べる大学を調べるうちに、動物福祉という学問に出会い、それを学ぶべく、大学に入学し研究室に入室しました。もちろん、ウシやニワトリなどの動物の肉は食べるのですが、最終的に食べるからと言って残酷な飼い方をしても良いというわけではなく、生きている間はより良く生活できるような飼い方をする、それを考えるのが動物福祉です。それでは、動物にとって良い飼い方とは何か?それを必死で考え飼い方を工夫しました。そして、その飼い方を動物の行動を見て、動物が心地よいと思っていのるか、あるいはストレスだと感じているのかを見極める。ストレスだと感じているようであれば、飼い方をさらに工夫して、再び動物の行動を基に判断する。この動物を使った研究を動物に返す研究、まるで動物と会話しているかのような研究に、私は猛烈にのめり込み、研究室に泊まり込む日々が続きました。研究が心の底から楽しいと思え、研究に人生を懸けることを決意した時でした。

今にして思えば、自分が何に情熱を持っていて、何を楽しいと思い、何が得意なのか・・・そのような人間の本質を確認しながら、それに従って自分の進む道を選んで来た気がします。幼少の頃は劣等生で、研究の才能も全くない私ですが、研究への情熱は誰にも負けないつもりですし、才能のなさを補うための努力もしてきたつもりです。今後も、道に迷った時は、自分の情熱に従って道を選びたいと思っています。皆さんも、自分が大好きなこと、自分の人生を懸けて望めることを、大学生活で見つけてみてはいかがでしょうか?

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