研究者を目指すあなたへ

私がこの研究を始めた理由

白石 純一(日本獣医生命科学大学)CV

幼少の頃から多くの動物を飼育する機会を得てきた。我々と言葉を交わして会話することができない動物が「いま何を考えているのか?」、「なぜそのような行動で表現するのか?」といった動物自身の気持ちを想像する楽しさを幼いころから覚えるとともに、動物にみられる生命現象にも興味を抱いてきた。そして、将来は動物に携わる仕事に就きたいと考え、大学に進学した。

学部生時代は、大学で知りあうとことができた友人らとともに、講義・実験実習を中心に畜産学を学んできた。机上での勉強はあまり得意ではなかったが、学内外における集中実習においては、積極的に取り組み、畜産現場での問題に対して常に問題意識をもち、動物、さらには我々人間にとってどのような改善策に取り組む必要があるのか考えてきた。卒業研究論文を作成するにあたり、研究室で過ごす時間が多くなった頃、私の心の中で芽生えてきたものがあった。問題解決のため、①科学論理的な推論を立て実験を遂行し、②得られた結果に対する考察を行い、③その考察をもとに次の実験を計画・実施する。この一連の取り組みに対する好奇心あるいは充実感、第三者からの客観的な意見を受けることに生まれる向上心、そして時には教科書では教えてくれないことを自らの研究により初めて解明できる喜びを知ったのであった。これらの感情を抱けることは研究者の醍醐味であると感じるとともに、こうした感情を抱けることができる仕事に就きたいと思い、「世のため、人のため、動物のために」貢献することができる研究者への道を志した。

大学院進学後は「動物の心と体を知る」をスローガンに、ニワトリヒナの摂食・エネルギー代謝調節における脳機能について研究を始めることになった。さまざまな問題に対する意識、研究への情熱と論理的な思考をもち、時には関連学会や国際会議で世界中の多くの研究者、仲間と切磋琢磨し、研究に取り組む、私なりの研究者に対する人物像(憧れ)を描き、日々の大学院生活を送っていった。博士課程在学中においては、日常の動物飼育管理方法、研究成果あるいは実験手技を習得することができたのは勿論のこと、何よりも教育・研究に携わる者として、やるべきことに対する精神力、体力および時間の消費を厭わずチャレンジする精神、好奇心を失わず、向かっていくことの大切さについて身を以って知った。

このように私がAnimal Scienceに飛び込む機会を与えて下さった数多くの先生方、友人、家族、そして動物たちに厚く御礼を申し上げるとともに、これからは、日本獣医生命科学大学の教員として、初期の栄養生理学的観点からのアプローチで家畜の生産性向上に関する研究を発展・展開させ、将来の畜産学(動物生産・流通・科学分野)を支える、感性、知性、考察力豊かな学生育成に貢献したいと思う。

サイトポリシー

当サイトは公益社団法人日本畜産学会若手企画委員会のwebサイトです。当サイトの著作権は公益社団法人日本畜産学会若手企画委員会にあります。
サイトの内容を無断で複写・複製することはできません。リンクはフリーです。