研究者の日常

アフターコロナ下の国際学会参加

小川 伸一郎(京都大学)CV
2023年11月

たまには軽い話題でも。

2023/8/28~2023/8/31の間にフランス・リヨンで開催された第74回欧州畜産学会(European Federation of Animal Science, EAAP)に参加してきました。ハイブリッド開催でしたが私は現地参加し、豚の耐暑性育種に関する研究成果をポスター発表してきました。2023/5/8に新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行して以降、初の国際学会現地参加でした。5類移行前に現地参加した最後の国際学会は、同年1月にアメリカ・サンディエゴで開催されたPlant and Animal Genome Conference (PAG30)でした。5類移行前後で、出入国の際の関連手続きの煩雑さはかなり解消されたようにも思いました。開催国ではいずれもマスク着用の方はあまりいないように感じました。

今回参加したEAAPは、開催地が観光地だったためか、参加費がまぁ高かったです。ディナー系のイベントにも出ませんでした。リヨン到着直後に公共交通機関利用チケットをまとめ買いしたのですが、会場受付にてホテル-会場移動用のチケットが配られているのを知り、損しました。メインテーマに気候変動に含まれていたこと、InterbullやWAAPと合同開催であったためか、とくに乳牛やメタン、暑熱対策関連の発表が多かったように感じました。日本からは筆者が当時所属していた農研機構畜産研究部門のほか、少なくとも東北大学、酪農学園大学、宮崎大学、岡山大学、三重大学、北海道大学、北農研、家畜改良センターに所属されている方々とお会いしました。ポスター会場は食事会場を出たすぐそばに設定されていましたが、ソーシャルディスタンスなんてどこ吹く風のような密加減でした。学会提供の食事は相応でパンは美味しかったように記憶しています。食事中に企業ブースが設置されていた日には、撤収作業中のIlluminaブースに突撃し、小さなイヌとラクダの人形を貰ってお土産にしました。

今回は羽田からの直行便でした。13時間か14時間くらいの空の旅だったと思います。シャルルドゴール空港に降り立ってからはTGVに乗って2時間ほどの陸路移動でした。景色を見ながらフランスの広大さを嚙み締めました。天気は良かったです。渡航直前は記録的猛暑でどうなることかと思いきや、参加期間中は気温が下がって快適になりました。そして帰国日あたりから暑さが少し戻ってきたそうで、幸運な旅だったかもしれません。日差しは強かったです。9/1に組み込まれたテクニカルツアーには参加しませんでした。実際は、防疫の観点も含めて学会ごとにご相談になるところだと思います。参加中に地下鉄に乗って財布をスられた方がいたそうです。

参加中や帰国後に体調不良者がぽろぽろ出始め、のちにインフルエンザや新型コロナと判明した例が複数ありました。フランスは治安悪化が続いているようで、気軽に参加できるとは限らないかもしれません。それでもやはり、学会に「現地参加」するのは「リモート参加」にはない様々なメリットがあるように思います。自分の研究をさらに研鑽するヒントを得られたり、世界の名だたる研究者の声や雰囲気を生で味わえるのはもちろん、開催地の文化を五感で感じ視野を広げるまたとない機会になると思います。とくに現在修士・博士課程に在籍されている学生さんは、対面の学会参加経験が例年に比べて乏しい方々になるのではないかと思います。学会発表、(準備はそれなりに大変ですが)楽しいですよ。

左上はスーパーで見かけた肉売り場、右上は仕事頑張ってますアピール、左下は帰国前の空き時間を活用した観光のワンシーン、右下はリヨン街で食べたとても美味しいソーセージ

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