研究者の日常

研究だけじゃない研究者の仕事

松田 二子(名古屋大学)

私は大学に勤めていますので、研究者のうち大学の教員(教授、准教授、講師、助教など)を中心にお話をします。

「○○大学でこんなすごい研究成果が出た。」というニュースを見聞きしたことがある人は多いと思いますが、大学教員の仕事は研究だけではありません。研究と並んで大学教員にとって最も大切な仕事は学生の教育で、講義、実習、卒業研究指導等を行います。講義は主に自分の専門分野についてのものを担当し、通常1コマ90分で毎週、半年にわたって行います。実習では、学生が実際に実験を行ったり、専攻分野に関連する現場を見学したりして、体験して学ぶ機会を提供します。

自身の研究室に所属する学生に対する卒業研究の指導も重要な仕事です。研究室配属後、卒業研究のテーマを決定し、実験の実施、実験結果の解析およびそれをまとめて論文を執筆するまでを指導します。卒業研究よりもさらに専門性を深めるために、大学院(修士課程・博士課程)に進学する学生もいます。教員は研究室に所属する大学院生に対しても研究指導を行い、その成果を修士論文や博士論文としてまとめさせます。以上のような教育を通して、専門知識を活かし社会で活躍できる人材を育成します。

大学教員は大学の運営方針の決定にも関わり、学生に対してどのような教育を行っていくか、大学組織としてどのように研究を推進していくか等についてビジョンを示します。地域との結びつきを大切にするため、地域住民・一般市民を対象に大学の施設公開や大学教員による講演会を行うこともあります。専門分野について教科書・専門書を執筆したり、国の方針を決める委員会に専門家として参加したりすることで、専門知識を通して社会に貢献することも研究者の重要な仕事です。

以上のように、研究者(大学教員)の仕事は多岐にわたります。ひとつのことを突き詰めていく専門性だけでなく、広い知識と視野も必要とされる職業だと思います。

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