研究者の日常
研究だけじゃない研究者の仕事
白石 純一(日本獣医生命科学大学)CV
今、このテーマについて、私が感じることを述べてみる。 畜産分野における研究者は「世の為、人の為、動物の為に」それぞれの研究者が独自の観点から研究し、課題に対する新たな知見の提案、実践をし続けることが務めとなる。 これに加え、大学の教員として大事な仕事としては「学生の教育」を挙げることができる。
私が所属する日本獣医生命科学大学 動物科学科においては各学年、約100人の学部生、そして大学院生が在籍している。その学生に対する教育といえば様々である。これまでに高校の生物学を学んできた一年次においては、生命科学分野における畜産学を学ぶ楽しさ、学部二、三年次においては幅広い専門的知識(視野)の習得、そして4年次においてはそれら専門的知識を道具にして、物事に対する論理的な思考(遂行)力を養ってもらうことが重要である。私も講義や実習を担当させていただくことがあるが、これら各学年に対してそれぞれの学術的かつ専門的な知識を習得できるような教育ができるように努めている。なかでも、私が所属する研究室に在籍している学生(3年次より研究室入室)に対しては、より『親しく』教育することができる。すなわち、これまでに取り組んでいる研究、あるいは関連性がある内容について月曜日から金曜日まで(ときには土曜日、日曜日も)、学生とともに『実験』、『英語・研究ゼミ』、『学生コンパ(定期的に開催)』など、さまざまな局面を通して研究(教育)を深めている。大学入学から卒業までの(少なくとも)4年間というものは、立派な社会人になるための架け橋となる重要な期間であることから、研究者(大学教員)が果たす役割の重要性ならびに責任を感じるとともに、楽しさ(醍醐味)を私自身が感じている。
これまでは、学生に対する教育について話を進めてきたが、大学教員(研究者)として重要な仕事の一つとして、将来の『畜産学を学ぶ』学生あるいは地域の皆様に対して、私たち研究者が取り組んでいる研究の成果を発信することが挙げられる。すなわち、今まで取り組んできた研究内容を題材として、高校生、地域の皆様に対して一方的な講義形式ではなく(時には必要)、平易な内容で対話しながら説明し、畜産分野をより身近に、そして研究の重要性を感じてもらう。このことは生命科学分野、畜産学さらには我が国の畜産業の繁栄の観点から非常に重要な仕事であるといえる。
学生時代は『動物の心と体をしる』をスローガンに自らの研究に励んできた。そして今回、『研究だけじゃない研究者の仕事』をテーマにして、若手研究者である私の思いを述べてきたが、これからも今まで以上に自らの研究を発展させ、「世の為、人の為、動物の為に」貢献できるよう、明日からの研究生活を邁進したいと思う。