研究者の日常

研究者の1週間

林 英明(酪農学園大学)

月曜日の1限目は毎週朝ゼミの時間です。持ち回りで毎回一人の学生さんが自分の卒業論文のテーマに関係するような英語の論文を探して、その内容をわかりやすく発表します。自分のテーマについての理解を深めることができ、プレゼンテーション能力を高めることもできると一石二鳥な企画ですね。また、英語の総説を分担して訳す輪読も行っています。ちなみに、現在読んでいる総説は、小動物の下痢や嘔吐に関する論文です。普段、自分が読む論文などには出てこないような単語も多く、私自身にとっても新鮮です。朝ゼミが終わると午後からは家畜生理解剖学実験という実習のため、準備に取り掛かります。今回は、カエルの腹直筋を使用してカリウム拘縮を観察してもらいます。2時間半という短い時間で実験を行い、理解するのは難しいところもありますが、学生さんたちは熱心に取り組んでいます。

火曜日と水曜日のほとんどの時間は実習や講義のスライド作成の時間となっています。何冊もの生理学の専門書を読み、その中からよさそうな図表があったらスキャナで取り込み画像をスライドに張り付けて、文章を書き込んでスライドを作成していくのですが、なかなか思うようにはいかないもので、その週に使用するスライドをその週に作成するという自転車操業のような形で毎週講義・実習をこなしています。また、1週間のうちに4クラス分、トータル200枚以上のレポートが提出されるので、スライド作成の合間にレポートの採点も行っています。

木曜日の午前中は実習の準備を行い、午後からは獣医生理学実習です。今回は、ウシガエルの心臓を用いて心臓の自動性や期外収縮と代償性休止について勉強してもらいます。生理学実習では生きた動物を用いて標本を作製し、その標本を用いて実験を行います。標本の活きがいいうちに実験を行った方が当然いいデータが取れるのですが、実験を行う学生にとっては初めてのことだらけなので、標本の採取やセッティングに手間取るとだんだん標本の活性も下がり、きれいなデータが取れないということも多々あります。そうならないよう、こちらもいろいろと手助けしながら実習を進めていくのですが、昼から実習を始めて終わるのは19時近くになることもあり、終わるころには学生も教員もへとへとです。そして、金曜日の午前中は講義が2コマあり、午後からは別のクラスの獣医生理学実習で、前日と同じ内容の実習を行います。前日と同じ内容の実習を行うので、前日の実習と同様の問題が発生しないように、そして早く実習が終わるようにこちらも頑張ってはいるものの、そうそううまいこといかずに同じような結果となってしまいます。

こうして一週間を振り返ってみると、研究者の一週間なのに研究に携わっていないことに愕然とします。まあ、夏休み期間に入ればゆっくりと研究に没頭できる時間もとれるようになるかと期待しながらこの教育漬けの日々を過ごすことにします。

実習で心電図を測定しているところです。

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