公益社団法人 日本畜産学会

理事長挨拶

第31代理事長就任にあたって

公益社団法人 日本畜産学会 理事長 
小澤 壯行 
(日本獣医生命科学大学 動物科学科 教授) 

 

 

 

 

 

 皆さま はじめまして.このたび,31代目の理事長を拝命いたしました日本獣医生命科学大学の小澤壯行と申します.この学会は「わが国における畜産学および畜産業の進歩・発展に資すること」を目的として,1924年(大正13年)に設立されました.私の任期内の2024年には設立100周年の記念すべき年を迎えます.理事長就任に際し,その重責に身の引き締まる思いですが,全力を尽くす所存です.

 さて,過去3年以上におよぶコロナウイルス蔓延により,学会活動は大きな影響を受けました.対面を主体とした学術大会やシンポジウム等は一気にデジタル化が進み,オンラインでの出席やオンデマンドの聴講へと変化を遂げています.しかし一方で「with corona」の下で,罹患防止には配慮しながらも従前のような生活を取り戻し,学会活動も活性化しなくてはいけません.

 加えてロシアのウクライナ侵攻や急激な円安を契機とした生産諸資材の高騰は,わが国の畜産経営に大きな影響を与えています.「畜産業の進歩・発展に資する」ことを目的とする,日本畜産学会の使命が今こそ問われていることを痛感しています.

 「農学栄えて農業滅ぶ」.東京農大初代学長である横井時敬先生の有名な言葉です.しかし私は現下の畜産業をめぐる状況とは,まさに「畜産学栄えて畜産業滅ぶ」と表現しても過言ではないでしょう.残念ながら学問としての畜産学と畜産生産現場はあまりにも乖離してしまいました.加えて「畜産経営学」を専門領域とする自らが,いかに非力であるかも知りました.だからこそ,私たち2千名の畜産学会関係者が今こそ一丸となってこの危機に対峙し,畜産学の英知を結集して対応すべきでしょう.そのためにも今期の理事会は,産業界との交流を密にして,「産学の一体化」を目指します.どうぞご協力ください.

 またコロナ禍の間,学会では「畜産学用語辞典」のWebデータベース化を成し遂げました.「畜産学用語辞典」は畜産学に関連する知識の集大成であり,座右の書です.その辞典が今やWeb上で,どなたでも自由に無料で利用できるようになりました.どうぞご活用いただきたいと存じます.

 日本畜産学会は学識研究の府で,自由闊達な議論が許される場所です.この分野に関心を抱く方々の入会を大歓迎いたします.共に日本畜産の発展を目指して邁進しましょう.

2023年6月