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畜産学では何を学ぶか

 前述の通り、非常に広範囲に広がる畜産学(動物生産学)分野では、それぞれの大学や学部、学科におけるカリキュラム構成は様々である。ここではごく一般的なカリキュラムとして茨城大学の例を紹介する。茨城大学での畜産学分野の教育は生物生産科学科における動物生産科学コースとして位置づけられている。
 まず学科共通科目として生化学、生態学、遺伝学、統計学等、これから動物生産学を学ぶために必要な基礎を2年次の前期に学ぶ。次いで2年次の後期以降に以下の専門科目を履修する。
  1. 形態機能(解剖)学:動物の体の基本構造とその機能を学ぶ。この授業は解剖実習を伴い、臓器の配置を観察するとともに顕微鏡による組 織観察も行う。
  2. 家畜生理学:動物の恒常性(ホメオスタシス)と行動を支配しているホルモンや神経の働きについて学ぶ。
  3. 動物栄養学:各種栄養分の動物体内における消化、吸収、代謝の様式について学ぶとともに、各 種ビタミン類の体内における働きを学ぶ。
  4. 動物行動学:各種動物の行動の原理、発現機構ならびにその機能を学ぶ。
  5. 動物育種学:家畜の品種について学ぶと共に、品種作出の歴史とその方法について学ぶ。
  6. 動物繁殖学:各種動物の繁殖生理と生殖細胞について学ぶ。人工授精や受精卵移植も含まれる。
  7. 飼料学:動物の飼料について、その種類や栄養的特徴、加工法などを学ぶとともに、養分要求量の計算法について学ぶ。
  8. 飼育管理学:各種動物の飼育方法について、主に飼育環境の制御の観点から学ぶ。
  9. 動物衛生学:特に動物の伝染病について学ぶ。
  10. 動物福祉学:動物のストレス評価法やストレス軽減に向けた飼育方法について学ぶ。
  11. 畜産物科学:乳、肉、卵といった畜産食品の物性や栄養的価値、さらに加工法について学ぶ。
  これら専門科目に加えて、農場実習において畜産農家が実際に行っている日常作業を体験することで専門科目への理解を深める。また茨城大の動物生産学コースでは家畜人工授精師の資格取得が可能であり、上記の専門科目に加えていくつかの関連科目が用意されている。大学によっては畜産学分野とはいえ取得できない場合もあるので、資格が欲しい場合には受験前に確認しておく必要がある。

卒業後の進路

 より高度な専門職業人に対するニーズの高まりから、近年では約3割の学生が大学院に進学している。卒業後の進路としては農業・畜産職の公務員、牧場や動物園といった動物飼育現場、食品製造や食品流通業、製薬会社や飼料会社等が主である。まれにイヌの調教師を目指してトレーナーに弟子入りしたり、海外青年協力隊に行く者もある。

畜産学を目指す人へ

 これまで見てきたように畜産学の研究対象となるフールドは多岐にわたる。従って高校までで学んで欲しい教科は多いが、中でも生物学と化学はやはり必須である。高校で履修できなかった場合でも、多くの大学では専門教育への接続として生物学や化学の基礎を用意しているので安心して欲しい。それよりも高校と大学の教育で大きく異なる点は卒業研究にある。未知の分野に向かって自らが情報を収集し、実験・観察を行い、結果の意味を論理的に記述するためには、論文講読のための英語力に加えて読解力や文章表現力といったいわゆる国語の力も必要になる。小説でも解説記事でも何でもよい。とにかく日本語や英語で書かれた長文に日常的に慣れ親しんでおいて欲しい。そして旺盛な好奇心と問題解決に向けた使命感を胸に、是非とも畜産学の門をたたいて欲しい。





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