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平成15年5月28日

「大会のあり方ワーキンググループ」報告書

  1. 設置の経緯
  2.  2001年第2回理事会(2001年6月30日)において、将来の畜産学会大会のあり方を構想検討するために、「大会のあり方ワーキンググループ」が設置された。メンバーは、秋葉征夫(東北大学、委員長)、酒井仙吉(東京大学)、服部昭仁(北海道大学)、細野明義(信州大学)、西原眞杉(東京大学)の5名である。

  3. 検討事項の背景と趣旨
  4.  現代社会の高度化・多様化を背景とした科学の高度化・情報化に伴い、科学者からの情報と発信や科学者間の情報交換だけではなく、社会への積極的な情報発信と社会との多様な形でのコミュニケーションが今世紀ではきわめて重要視されると考えられる。畜産学分野でも、これまでの畜産学研究者、畜産業・畜産関連産業に関わる技術者・生産者、畜産行政担当者への情報発信と情報交換のみではなく、社会の一般市民・消費者との畜産技術情報の適切なコミュニケーションが求められている。このようなコミュニケーションの中で、学会そして学会活動(特に学会大会など)がその主役を果たすことはいうまでもない。
     科学の高度化の一方では、科学の細分化が急速に進行し、畜産学の分野でも細分化された領域の学会・研究会への研究発表が増加するなど情報交換の場の多様化が進み、若い研究者の既存学会離れが懸念される状況が生まれてきた。また、畜産学の細分化を背景とした畜産業・畜産関連産業と畜産学との乖離など、学会大会の在り方は無論、学会の基盤に関わる大きな検討課題である。
     日本畜産学会大会は98回を数え、日本畜産学会報の出版とともに畜産学会活動の両輪をなす重要な活動である。畜産に関する理論の構築、畜産業・畜産関連産業への新たな技術と情報の発信の場、研究者間の討議の場、そして公開講演会などの社会との接点の場として、大きな役割を果たしてきた学会大会の機能を充実した形で継承するとともに、新世紀における多様化・高度化社会に適合し、しかも社会をリードできる新たな学会大会の形態を模索していくことが必要である。
     これまでにも、日本畜産学会の在り方については、1997年に設置された「大会のあり方」ワーキンググループ(宮元委員長)で基本的検討がなされ、学会会長にその報告がなされている。本ワーキンググループでは宮本ワーキンググループの答申を踏まえて、約1年半をかけて、これまでの大会の変遷と実情を整理して評価し、科学の高度化・細分化に対応した「大会のあり方」を将来に向けて展望構想し、そして会員に提案する作業を進めることとした。以上のような背景から、本ワーキンググループでは以下の4点を主要検討事項とした。

     1)畜産学進展に向けての大会(特に合同開催)のあり方
     2)若手研究者の育成と若手研究者へのアピール
     3)畜産関連生産者・技術者との連携・コミュニケーションの拡充
     4)社会(市民・中高生・マスコミなど)とのコミュニケーション

  5. 畜産学関連学会・研究会の共同開催について
  6.  日本畜産学会第98会大会(仙台大会、東北大学、2001年3月)においては、畜産学関連の学会・研究会が3日間の期間内に共同開催され、畜産学会会員だけではなく、多くの畜産関連研究者技術者そして一般市民が参加して行われた。大会にはこれまでにない約1,400名の参加者があったと報告されている。また、大会時には関連学会・研究会の交流会が開催され、それぞれの学会・研究会の内容・現状・問題点などの意見交換がもたれたことは、これまでにない有意義な試みであったと考えられる。本ワーキンググループでは、今後の畜産学会大会の在り方を検討する課題の一つとして関連学会・研究会との大会共同開催を取りあげた。前記の仙台大会での関連学会共同開催についての評価がその重要な討議材料になるものと考え、畜産学関連学会・研究会へのアンケート調査を、2001年12月に実施した。アンケートの集約を行って分析し、その結果を理事会(2002年3月)に報告した。

    集計結果の概要
     18の畜産学関連学会・研究会にアンケートを依頼し、そのうち12の学会研究会より回答を得た。このうち8学会研究会が大会のあり方についての検討・問題提起を行っている状況であった。仙台大会の合同開催に参加した学会研究会の判断で、大会運営・参加者数および経費節約等の点で成果があったとする判断(4学会研究会)と変わらなかったとする判断(4学会研究会)となった。また、共同開催にあたっては、時間配分に十分留意することとの要望があったものの、おおむね参加者に好評であったとの評価が多かった。今後、共同開催を希望する団体は5学会研究会、参加しない学会が1、そして判断をしていない学会研究会が6学会研究会であった。これらのアンケート調査から、学会研究会の合同開催は畜産学関連の学会活動を活性化する観点で意義が大きいものと考え、次年度以降における共同開催を円滑に進めるためのマニュアル作りを行うこととした。

    畜産学関連学会大会共同開催マニュアル
     共同開催に向けての作業内容が時系列で理解し、実施できるように、畜産学会事務局の作業、大会開催校(開催団体)の作業、それぞれについての作業事項をまとめ、さらに、関連学会研究会への共同開催についての問合せ事項などを作成した。これを理事会に2002年10月の理事会に報告した。

    日本畜産学会第103回大会(2004年3月、東京農工大)における共同開催
     上記のマニュアルに基づいて、103回大会時における共同開催について関連学会研究会に参加に関する調査を行った。その結果、12学会研究会より、共同開催の希望を得た。

  7. 日本畜産学会大会優秀発表者の表彰について
  8.  近年における大学院修了者に対する社会的要請の増加と各大学における大学院教育の充実化に伴って、大学院入学者が増加し、大学院在学者および修了者が学会をはじめ産業界で大きな活躍を見せている。科学が高度化・細分化しつつある現在、大学院学生の研究活動は科学の発展を支える大きな基盤の一つとなり、畜産学分野もその例外ではない。事実、畜産学会大会においても大学院学生および若手研究者による発表題数は多数を占めている。畜産学の将来の発展を期する観点で、大学院学生を中心とする若手研究者の研究活動を鼓舞すると共に、的確な評価を与えることはきわめて重要である。畜産学会もこの重要な役割を担うものである。

    趣旨
     次代の畜産学会の発展を担う大学院学生・若手研究者の研究活動を奨励し、しかも的確な評価を与えて活発な勉学・研究を助長する観点で、畜産学会会員で、受賞時の年齢が満30歳以下の者を対象として、畜産学会大会における優秀な発表者を表彰する。
    実施
     授賞件数はおおむね10名以下とし、分野に偏らないように配慮する。対象発表は予め応募した口頭発表あるいはポスター発表とし、両者の発表を対象とするのか、あるいは片方を対象とするのかは、あらかじめ会員に周知することが必要である。
     審査は優秀発表賞審査委員会(当面は編集委員会)の委員と座長が行い、授賞者は審査委員の評価に基づいて、審査委員会で決定する。評価項目は、

     1)発表内容の論理性と成果
     2)発表の分かりやすさと態度
     3)スライド、OHPあるいはポスターの良否
     4)質疑応答の的確さ

    等とする。表彰は当該大会において行う(たとえば、総会あるいは懇親会において)ことが望ましい。
     以上の骨子を2003年1月の理事会に報告し、了承を得た。

  9. 活動のまとめ
  10.  以上、2001-2002年のワーキンググループでは畜産学関連学会研究会の合同開催、および若手研究者を活性化し鼓舞する表彰制度の実施を骨子とする答申をまとめ、2003年3月の理事会で報告した。当初の検討項目にある、畜産関連生産者・技術者との連携・コミュニケーションの拡充と社会(市民・中高生・マスコミなど)とのコミュニケーションに関しては最終的な結論に至らなかったので、今後の検討事項として引き継ぐものである。

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