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第14回 男女共同参画学協会連絡会シンポジウム参加報告


テーマ「国際的にみて日本の研究者における女性割合はなぜ伸びないのか?」
日時 : 平成28年10月8日
場所 : お茶の水女子大学

 第14回男女共同参画学協会連絡会シンポジウムに、畜産学会の若手奨励・男女共同参画推進委員会より 2名の委員が参加しました。このシンポジウムは、連絡会に加盟している90学協会が集まり、講演会・ パネル討、などを行うことにより,今後の科学技術の発展および持続可能な社会の実現に向けて必要と される女性研究者の活用及びそのための支援策 などについて,有効な方向性を探ることを目的としています。

プログラム等の詳細はこちら



  第14回男女共同参画学協会連絡シンポジウム 参加報告

 10月8日に開催された第14回男女共同参画学協会連絡会シンポジウムに参加させていただきましたので、その内容を以下に報告いたします。

 午前の部では、分科会1「Unconscious biasについて考える」と分科会2「女性のための賞の創設〜その意義と効果を考える」に分かれて、 プレゼンテーションとフロアを交えた意見交換が行われた。

○分科会1「Unconscious biasについて考える」
 仕事や社会の在り方にDiversity(多様性)の重要性が説かれ久しいが、このDiversityを進める上で鍵となるのがUnconscious baisとなる。 文字通り、我々が持っている「無意識」のバイアスで、例えば「文系=女性的」「理系(特に、物理学)=男性的」のような潜在的に有している感覚である。 これが女性の採用や昇進の際に大きなバイアスとなる場合がある。具体的には、履歴書において推薦者の性を問わず、候補者が男性であれば 「能力」について言及されるのに対し、女性では「態度」が評価される。能力がExcellentであるほうが、Hard workerであることより評価が高く なることは必至であり、これが女性の活躍を妨げる要因になっているとの指摘がなされた。 また、女性自身もUnconscious baisによって行動を規制している場合がある。女性研究者は学会発表の場でも、口頭発表よりポスター発表を 行う比率が高かったり、自薦でシンポジストになる割合も非常に低く、「目立ちたくない」というbiasによって、活躍の場を狭めているとの指摘がなされた。 尚、Unconscious baisについてご自身の傾向を調べる場合は、https://implicit.harvard.edu/implicit/japan/にてテストを受けることが出来る。

○分科会2「女性のための賞の創設〜その意義と効果を考える」
 各学会からの受賞比率調査結果が示され、日本畜産学会は他の学会と比較して、正会員女性比率に対して研究奨励賞における 女という評価だった性の割合が高い(過去10年間において34.9%)。他学会の状況はそうではなかったようだ。
 講演1として産総研名誉リサーチャーの相馬芳枝氏による「女性科学者賞の必要性とその効果」。パネルディスカッションにおいても議論された。 なぜ昨今女性研究者対象の賞が創設されてきているのか。その背景として、例えば奨励賞は一般的な受賞対象年齢となる35〜40歳までは子育て時期 と重なる場合が多いため機会を逃している女性が多い、また、女性自身が応募を遠慮している場合も多い、といったことがあるそうだ。 賞を受賞することで今後の研究生活への後押しとなる、リーダー的立場へのステップアップとなる、ネットワークが広がるなどのメリットがある。 そこで、女性にその機会を増やすことが女性研究者の支援になる、また業績のある女性を表舞台に見える化することができるのではないかのこと。 女性賞を創設することで、「女性研究者は従来の研究賞ではなく女性賞でいいでしょ」「女性賞そのものが軽視されるのでは」 「女性の方が受賞機会が多いと逆差別とされるのでは」などの懸念の声は多々ある。現在は、とにかく女性に賞をとってもらいましょう、 という段階で、将来的には発展的に解消されればとの願いもあるそうだ。また質疑応答の中で賞の代表者らから応募資格に戸籍上の性は問わない との見解が示された。
(他学会の女性賞について補足リンク※)
 講演2として資生堂研究推進部長の石館周三氏により「資生堂女性研究者サイエンスグラント (https://www.shiseidogroup.jp/rd/doctor/grants/science/)について」紹介があった。 本グラントは指導的女性の育成を目的に掲げている特長がある。多分野を対象とし、年間10名、奨励金100万円。研究費として用いる他、 学会参加時等のベビーシッター費用、子供やその付き添いの旅費にも使用可とのことで画期的だ。2007年設立、今回の募集で10年目と実績も積んでいる。

 続く午後の部では、全体会議「日本と世界の研究者・技術者―これまでの支援策と女性比率―」として文部科学省、経済産業省、 沖縄科学技術大学院大学(OIST)、日本大学を代表する方々の講演があった。
 文科省からは、出産や育児で一時的に研究を中断しなければならない状況下の女性研究員を支援する事業の紹介や、研究環境の ダイバーシティ実現に関する計画が紹介された。また、経産省からは、産業界からのニーズが高い「機械・電気・IT」分野での 理工系女子比率を高めるための取り組み(理系女性活躍推進支援事業)が紹介された。また、OISTの副学長からは米国の大学で 働く女性教職員の割合が1973年の9.1%から2013年には37%に上昇している理由としてADVANCE(National Science Foundation)の 取り組みが紹介された。日本大学の野呂知加子教授からは日中韓女性科学者技術指導フォーラムに関する情報提供がなされた。 韓国の女性研究者支援対策は制度化され、男女共同参画大臣や環境大臣は女性科学者から選出されることが紹介された。

 本シンポジウムも今回で14回目を迎えるが、年々、精神論的な女性研究者問題の取り組みから脱して、体系的に改善するための道筋が 作られているように感じられる。今後日本における労働人口が減る中で、優秀な女性研究者・技術者の育成を目指し、 小中高生の若いうちから働きかけをしていく必要を強く感じた。
    
                                           (江草愛・武田久美子)


  ※補足資料 学会主催女性研究者賞等について

・日本女性科学者の会(H7 奨励賞創設)1−3名、年齢・性別制限なし
http://sjws.info/prize/index.html
・日本動物学会(H13 女性研究者奨励OM賞創設)若手育成
http://www.zoology.or.jp/news/index.asp?patten_cd=12&page_no=605
・日本生理学会(H22 入澤彩記念女性生理学者奨励賞創設)
http://physiology.jp/award/irodori/
・化学工学会(H23 女性賞創設)2名以内、年齢制限なし
http://www.scej.org/award/apply.html
・日本化学会(H24 女性科学者奨励賞創設)
http://www.chemistry.or.jp/activity/cooperation/
・日本農芸化学会(H29 農芸化学女性賞、農芸化学若手女性研究者賞(35歳まで)、農芸化学女性企業研究者賞創設)
http://www.jsbba.or.jp/about/awards/female1.html




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