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第12回男女共同参画学協会連絡会シンポジウム参加報告

 第12回男女共同参画学協会連絡会シンポジウムに,畜産学会の若手奨励・男女共同参画推進委員会より2名の委員が参加しました. このシンポジウムは,連絡会に加盟している85学協会が集まり,講演会・パネル討論などを行うことにより,今後の科学技術の発展 および持続可能な社会の実現に向けて必要とされる女性研究者の活用及びそのための支援策などについて,有効な方向性を探ること を目的としています.今年は,昨年実施した大規模アンケート調査で明らかになったデュアルキャリアカップルの単身赴任問題や, "技術者"業界における課題などについての討論が企画されました.

プログラム等の詳細はこちら (http://www.djrenrakukai.org/symposium1.html)



 第12回男女共同参画学協会連絡シンポジウム 参加報告

10月4日に開催された第11回男女共同参画学協会連絡会シンポジウムに参加させていただきましたので,その内容を以下に報告いたします.  

 午前の部では,分科会A「女性技術者の働き方―意識・組織・制度―」と分科会B「同居支援への支援案の模索」に分かれて,プレゼンテーションと フロアを交えた意見交換が行われた.分科会Aでは,ライフワークバランスを基礎に「意識」を共有し,「組織」と「制度」の改革の必要性について, 5名の土木や機械系技術者による事例報告がなされた.日本には専門的技術系職業従事者は1004万人いるが,このうち女性の研究者と技術者は34万人 しかいない.このように女性がマイノリティーの分野であっても,力を合わせれば女性からの要望で法改正(2007年女性の坑内労働が一部解禁された) を成功させた経緯が紹介された.技術系分野では就職10年後の離職率が男性の2.6倍と高い.これを食い止めるには様々な制度の改革が必要と考えられ, 女性が立ち上がるのも勿論のこと,大企業にも積極的に国や関係機関に働きかけるようにとの要望がなされた.
 午後からの全体会議第1部では消費者庁長官の板東久美子氏から「女性研究者・技術者の一層の活躍に向けて」と題して,前文部科学審議官の立場か ら日本の抱える問題について基調講演がなされた.日本は世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数で136カ国中105位であり,先進国では最下位と なっている.2020年に指導的地位に占める割合を30%まで増加させることを国家の成長戦略に据えているが,大学のポジションで見れば,教授クラスは 理・農・工で僅か4%に過ぎない.この状況を踏まえ,「女性研究者研究活動支援事業」の例として平成18年度から始まったRPD(Restart PD)研究員の制度 が紹介された.文科省を離れた氏ではあるが,今後も女性が活躍出来る環境を整えるための取組みが推進されることを期待するとの話がなされた.
 また,全体会議第2部では,4名のパネリストから「男女共同参画学協会連絡会の要望書具現化に向けて」と題したパネル討論がなされた.初めに, 山梨大学の岡村美好准教授からは,近年の「ドボジョ(土木系女子)」の活躍について,紹介がなされた.創立100周年,会員数37千人を誇る土木学会は, 60代の女性会員比率が僅か0.8%であるのに対し,20代は30%と,成長型(人口増大型)の年齢分布を示している.今,増えている若い女性が活躍するた めにも,「家庭・社会・仕事」を個の問題として捉らえるのではなく,組織の生き残りを賭けた戦略として取組んで貰いたいとの要望がなされた. 続いて,JAXAの塩満典子氏からは,内閣府男女共同参画局での学技術分野の調査・施策の経験を基に,10年間の男女共同参画における振り返りがなされ, 今後のダイバーシティの推進のためには世代・地域を考えた支援を推進する必要があるとの話がなされた.また,INMES (International network of women engineers and scientists) Japan菅原香代子氏からは,「ダイバーシティとは,男女の同権を目的とするのではなく, 女性が活躍することで組織(社会)が好転するための仕組みである」との説明がなされた.最後に,東北大学の宮岡礼子教授からは2012年12月に実施された 第3回大規模アンケートの集計結果をもとに,男性研究者と女性研究者では,子供の数に違いがあることや,上位職における男女比率が異なることが報告 された.また,先生の個人的な提案として,Stop the clock (任期付きポジションにおいて,育児休業中は任期に入れない)から一歩進み,育児休業分の 定年を延長してはどうか,との提案がなされた.
 今回のシンポジウムも,例年同様に,パワフルでポジティブ,着実に実績を積み上げてこられた女性研究者・技術者の講演内容に圧倒されるばかりで あった.育児問題に合わせ,今後は親世代の介護問題も,研究者にとっては大きな負担となることが予想される.最後に宮岡先生が「女性研究者は 『大変・大変』と言うのを止めましょう.楽しいことが沢山あることも合わせて伝えていきましょう」と話されていたのがとても印象的であった.
(江草 愛)



 第12回男女共同参画学協会連絡シンポジウム:雑感

 畜産学会の若手奨励・男女共同参画委員会委員として,今年もまた,このシンポジウムに出席することになった(そろそろ飽きてきた…). 午前中の分科会では,いわゆるDual Careerカップルに対する同居支援策など,研究業界ならではの問題について討議があったのだが,諸般の事情で 午後(全体会議)のみの参加になった.前文部科学審議官(現消費者庁長官)の特別講演は,当然のことながら”お役人の話”(=毒にも薬にもならない) だった.依頼する側も講演内容に期待しているわけじゃないのだろうけれど.一方,パネル討論では日頃あまり縁のない業界の話を聞くことができ, なかなか興味深いものだった.
 土木系女性技術者に関する話題では,「土木系技術者女性の会」という極小規模の有志の活動が,女性の坑内労働を禁止していた労働基準法の 改正につながったこと(>そんな禁止事項の存在自体を知らなかった)や,最近,土木系女性技術者が「ドボジョ」として注目されているという ことが紹介された.「ドボジョ」も「リケジョ」も、メディアで取り上げられる際には「ジョ」の部分に「女子力」が含まれていることが多いため、 個人的にはどうにも好きになれない分類名だが、若い世代の関心を引く手段としては有効なのだろうか.また,企業におけるダイバーシティ活動の 事例として,日本IBMでの女性のキャリアアップ支援策の紹介も面白く聞いた.女性社員に対するサポートが企業利益につながることが明らかになれば, 企業自らが積極的に対応する,という明解な話だったが,その”利益”を長期的な視野で計算することが可能な大企業ならでは,という気もする. ”合理主義の国”アメリカの企業だという点も大きいかもしれない.ちなみに,そのアメリカでも,最近は「ハウスワイフ2.0」なるムーブメントが 起きているそうで,企業社会とは異なる次元での評価に主体を置く女性も増えているのだとか.女性の新しい生き方, とも言えるが, アメリカに おいてさえ一向に解消されない男女格差に対する諦めと逃避、と見るむきもあるらしい.
 結局,研究分野における男女共同参画云々については,特に耳新しいことはなかったのですが,ちょっと面白い「現代社会」の授業(?) を受ける ことができました.毎年この時期(10月第1土曜日)に首都圏エリア内で開催されますので,一度聞いてみてもいいかな;と思う方(男女問わず)は ぜひ,学会事務局までご連絡下さい.
                                           (須藤まどか)





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