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第11回男女共同参画学協会連絡会シンポジウム参加報告

 10月7日に開催された第11回男女共同参画学協会連絡会シンポジウムに,畜産学会の若手奨励・男女共同参画推進委員会より2名の委員が参加しました.このシンポジウムは,加盟する72学協会が集まり,講演会・パネル討論などを行うことにより,今後の科学技術の発展および持続可能な社会の実現に向けて必要とされる女性研究者の活用及びそのための支援策などについて,有効な方向性を探ることを目的としており,今年は「多様性尊重社会を目指して」というテーマに基づき分科会・パネル討論が行われました.

プログラム等の詳細はこちら (http://annex.jsap.or.jp/renrakukai/doc_pdf/2013/11thsympo_program_final.pdf)



 第11回男女共同参画学協会連絡会シンポジウム参加報告

 10月7日に開催された第11回男女共同参画学協会連絡会シンポジウムに参加させていただきましたので、その内容を以下に報告いたします。  ***************************************************************************
 午前の部では分科会A「女性研究者のポテンシャルを最大限に:問題点と国際比較!」と分科会B「あなたが光るために〜提言・要望のもたらすもの〜」に分かれて、プレゼンテーションとフロアを交えた意見交換が行われた。分科会Aでは、物質・材料研究機構の板倉明子先生が「欧米諸国のリーダー育成状況とそのために必要な体制や支援について」と題し、各国の女性研究者の仕事と家事の両立の実態に関する講演がなされた。リーダーとして成功するためには、常にポイントゲッターであり続け、成果を出すことによって、特別な働き方(例えば、午前中のみの勤務)などが可能になっている例などについて紹介がなされた。福島県立医科大学の本間美和子先生からは「分子生物学会における属性調査報告と経年調査の意義」と題し、学会登録の際にアンケート調査を実施した結果を示された。一般演題の登録においては、学会女性比率(28%)と同等であるのに対し、シンポジストやオーガナイザーの女性比率(3%)は極端に低いため、スピーカーの選択に無意識なバイアスが掛かっているのでは?との解説がなされた。従って、女性を積極的に登用し、visibility(見た目効果)を挙げることも大切ではないか、との提案がなされた。同様に大阪大学の篠原美紀先生から日本遺伝子学会におけるアンケート調査の報告がなされ、30代女性の参加率が低いため、参加費援助などの支援策を講じていることが紹介された。さらに、女性スピーカー率を上げるために、「若手枠」を作ることが効果的ではないかとの話もされた。最後に、静岡大学の本橋令子先生から、若い研究者カップルの両方が共にキャリアを積んでゆくための支援策(北海道大学や岩手大学の研究者同時採用や同居支援システムなど)の紹介の他、文科省にバーチャル大学を設立し、そこに所属を置きながら(給与はバーチャル大学から支給)、実際に家族状況などから働くのに適した職場で研究を続ける案の紹介がなされた。 午後の部では、第11期連絡会委員長(日本動物学会)ならびに来賓挨拶の後、名取はにわ氏(元内閣府男女共同参画局長)による「ダイバーシティーの実現に向けて〜女性がトップで社会が変わる?」と題した特別講演が行われた。アイビーリーグでの女性学長の比率が43%であるのに対し、日本の大学では9%程度と非常に低いことや、そもそも日本における女性研究者の割合が14%と低い(PIだと、更に少ない)ことの解説がなされた。女性を参画させることは人材を2倍にし、社会を活性化させることに繋がる。また、今後の日本は高齢化社会を迎え、介護も大きな負担となることが予想されるため、法律で定められている育児・介護休業法などの支援策を周知し、さらに活用していくことの重要性を話された。 続く全体会議Iでは、平成24年11月に実施された「第3回科学技術系専門職の男女共同参画実態調査」の解析結果が報告された。今回の調査では、博士課程の学生割合が5年前に比べて大幅に減少していることや、ポスドクの数が多すぎると答えた割合が3割以上と増加していることが示された。また、新規回答項目として人事応募の経験回数が21回を超える人が全体で5%(動物学会では20%以上)であり、就職が過酷であることの実態が明らかにされた。前回と同様に任期付き雇用比率は女性が多く、少子化傾向が明らかであった。 全体会議IIのパネル討論では、「多様性尊重社会を目指して」と題して、お茶の水女子大学の副学長鷹野圭子先生から、「お茶の水インデックス(雇用環境自己評価指標)」と「COSMOS(雇用環境整備ガイド)」の紹介がなされた。『9時〜5時』勤務体制の徹底化や子育て研究者への研究補助者の配置、学内保育所の設置など、ソフト・ハード面共に充実した内容が紹介された。続いて、凸版印刷の宇賀神美子氏から、民間企業の取り組みとして、育児期間の勤務特別措置、出産を理由に退職した人の再雇用制度、介護休業制度などの紹介がなされた。この他、神奈川大学附属中・高等学校教諭の小柳めぐみ先生から「理系好きの子供を増やすための取り組み」の紹介(実験をする時間を増やすと子供が科学に興味をもつ、女子にも興味を持ってもらうため科学番組に女子を登用するなど)がなされた。また、桐蔭横浜大学の米坂知昭先生から「多様性時代における臨床検査技師の現状」として、医療を取り巻く多様な職制や相互の関わりに関する紹介がなされた。最後の2演題は、東洋大学の鈴木規子先生と同大学村尾祐美子先生から「女性の高等教育進学の国際比較」や「ダイバシティ・マネジメントの観点から考える女性研究者・技術者の活用」のタイトルで講演がなされた。フランスでは理数系で優秀な女子でも、理工系機関が「男性支配文化」であるため、進路として選択しないことが紹介され、日本にも当てはまるのではないか、との問いかけがなされた。また、ダイバシティ・マネジメントについては、@ポジティブ・アクションを通した積極的な(女性研究者)支援、Aトップの理解、B雇用機会均等の遵守、C個人の多様性の理解、D統計を通した現状把握、重要であるとの解説がなされた。 今回の会では、大規模アンケートの報告がなされたが、研究者を取り巻く環境(特に女性や若手)の厳しい現状が浮き彫りとなり、このまま是正されなければ、若くて優秀な学生はアカデミックなポジションに就く事を敬遠するのではないか、との不安に駆られた。また、この先、日本が高齢化社会になると、責任のある世代に介護の問題も重く圧し掛かることが予想される。多様な人材を受け入れられる弾力のある制度(研究環境・体制の整備)の必要性を強く感じた。
(江草 愛)



 第11回男女共同参画学協会連絡会シンポジウム:雑感

 昨年度に引き続き、男女共同参画学協会連絡会の定期シンポジウムに参加しました。参加費と交通費は畜産学会会員の皆様のお財布(=畜産学会費)から出していただいているので、居眠りなどせずにしっかり聴いてまいりました! これを本学会の活動に生かせるか否かは、あまり自信ありませんが…;
 シンポジウムの内容については、江草委員に詳細な報告書を作成していただきましたので、ここでは雑感を記すにとどめたいと思います。

 男女共同参画関連の会合に参加する度に考えさせられるのは、クウォータ制や女性比率の数値目標導入など、いわゆるポジティブ・アクションの是非である。ポジティブ・アクションは、男女差別の解消策として有効とされる一方で、逆差別だという見方もある。本シンポジウムにおける大規模アンケート(学協会連絡会が昨年実施した理系研究者対象の全国規模調査)の報告では、女性職員比率の数値目標導入について、安定的な職に就いた人では男女を問わず比較的肯定的な意見が多い一方、任期付き・ポスドク等の男性では9割近くが否定的という結果が示された。就業ポストが限られる現状では、女性の進出は必然的に男性の失職につながることから、当事者にとっては「女性だけ特別扱いするなんて冗談じゃない!」と言いたくなるのもわかる。それでもなお、ポジティブ・アクションが必要だとされているのはなぜか。それはおそらく、人間社会においても生態系と同様に、変化と発展には<多様性>が不可欠だという認識にもとづくものだろう。
 村尾祐美子氏(東洋大学・社会学部)の講演では、「画一的集団では異質なものを排除する力が作用する」という集団力学的法則が存在し、多様性をもたせるには外部からの強制力が必須だということが指摘された。また、名取はにわ氏(元内閣府男女共同参画局長)の講演では、 未だ根強い“オールド・ボーイズ・ネットワーク”の存在が、組織の性的多様性を阻害する要因の一つだという指摘もあった。だからこそ、組織において女性の比率が非常に低い段階では、「外部からの強制力」としてのポジティブ・アクションが必要、というわけだ。
 とは言うものの、組織が性的多様性を持つことのメリット・必要性というのは、なかなか見えにくい。仮に自分が経営者であったなら、産休・育休ばっちり取得しますよ、という女性を採用することを躊躇しないだろうか? 10年後には大きく発展する可能性を認めても、今年の業績が悪化するリスクを冒せるだろうか? そう考えると、短期的な効率ではなく未来のブレークスルーをめざす研究という分野でこそ、多様性を求める積極的な動きがあってしかるべき(就活中の男性にとっては「やむを得ない」?)と言えるのかもしれない(…けど,最近は研究業界も効率化ばかり叫ばれているような…)。
                                           (須藤まどか)





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